🔍 ひとことで言うと。イタリア語の非人称の si(si impersonale)は「人は〜する」「〜される」のように一般的な主語を立てない構文です。「In Italia si mangia presto.(イタリアでは早めに食べる)」「Si dice che il caffè italiano sia il migliore.(イタリアのコーヒーが最高だと言われる)」のような形です。受動の si(si passivante「Si vendono case」)と区別すると, 用法が一気にクリアになります。B2・伊検2級から準1級に頻出する重要な構文です。Treccani も「Il si impersonale si usa con verbo intransitivo o transitivo senza il complemento oggetto espresso」と整理しています。
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- 非人称の si とは (si impersonale)
- 使い方の4つの基本ルール
- 非人称 si と受動 si の違い
- 複合時制(近過去)と過去分詞の一致
- 日常で使う15例文
- 日本人がつまずくポイント
- 会話 (dialogo)
非人称の si とは
si impersonale
イタリア人の会話を聞いていると、「Si dice che…」「In Italia si mangia presto」「Qui non si fuma」のような言い方をよく耳にします。共通しているのは、主語が明確でないこと。「誰が言うか」「誰が食べるか」を特定せず、「一般的に人は」「みんなは」「世間では」のように、不特定多数を主語にしています。これが非人称の si(si impersonale)です。日本語の「人は」「みんなが」「〜と言われる」とほぼ同じ感覚で使えます。
形はとてもシンプルです。動詞の前に si を置くだけ。動詞は3人称単数で活用します。「Si dice che…」(〜と言われる)「Si vive bene a Lucca」(ルッカは住みやすい)「Si parla italiano in questa scuola」(このスクールではイタリア語を話す)のように。意味は英語の one says, people say, you can にあたります。日常会話, 観光案内, レストランの注意書き, 旅行ガイドのあらゆる場面で頻出します。
非人称の si は受動の si(si passivante)とよく混同されます。違いは目的語の有無にあります。受動の si は他動詞 + 目的語のとき。「Si vendono case」(家が売られている, vendere + 目的語 case)「Si studiano molte lingue」(多くの言語が勉強される)のように、複数の目的語が主語の役割を果たし、動詞は複数形になります。非人称の si は目的語がない(自動詞や目的語のない他動詞)とき。「Si dice」「Si parla」のように、動詞は3人称単数のままです。Treccani も「Il si impersonale si usa con verbo intransitivo o transitivo senza il complemento oggetto espresso」と整理しています。
使い方の4つの基本ルール
形と活用の整理
非人称の si を使うときの4つの基本ルールを整理しましょう。
第一に、動詞は3人称単数で活用します。「Si dice」「Si vive」「Si parla」「Si mangia」のように。第二に、自動詞(andare, partire, venire, vivere など)や目的語のない他動詞(mangiare 単独, parlare 単独)と組み合わせます。第三に、形容詞や名詞補語が続くときは、慣習として複数形を使います。「Quando si è giovani, si fa di tutto」(若いときは何でもする, giovani 複数)「Si è felici di lavorare in Italia」(イタリアで働けるのは幸せ, felici 複数)のように。第四に、再帰動詞(alzarsi, vestirsi など)と組み合わせると ci si という形になります。「Ci si alza presto in vacanza」(休暇では早く起きる)のように。
| 場面 | 形 | 例 |
|---|---|---|
| 自動詞 | si + 3人称単数 | Si vive bene a Lucca. |
| 目的語のない他動詞 | si + 3人称単数 | Si parla italiano qui. |
| 形容詞・名詞補語 | si è + 複数形 | Si è stanchi alla fine. |
| 再帰動詞 | ci si + 3人称単数 | Ci si alza presto in vacanza. |
非人称 si と受動 si の違い
si impersonale vs si passivante
非人称の si と受動の si はよく混同されますが、判断のコツはシンプルです。目的語があるかを見ます。目的語があれば受動の si で、動詞は目的語の数に一致します。「Si vendono case a Padova.(パドヴァで家が売られている)」では case が複数なので動詞も vendono と複数形。「Si studia l’italiano in questa scuola.(このスクールでイタリア語が学ばれる)」では italiano が単数なので動詞も studia と単数形。これが受動の si です。
一方、目的語がない、または自動詞のときは非人称の si です。動詞はつねに3人称単数。「Si parte presto per il viaggio.(旅のために早く出発する)」「Si dorme bene in questo albergo.(このホテルではよく眠れる)」のように。日本語の「〜される」と「人は〜する」の区別に近い感覚で覚えると, 自然に使い分けられます。
- Si vendono case nuove a Bologna.(受動 si – case 複数)
ボローニャで新築の家が売られている。 - Si parla italiano in questa scuola.(受動 si – italiano 単数)
このスクールでイタリア語が話される。 - Si vive bene in questa zona.(非人称 si – 自動詞)
この地域では生活がしやすい。 - Si dorme tranquilli a Modena.(非人称 si – 自動詞 + 形容詞複数)
モデナでは安らかに眠れる。
複合時制と過去分詞の一致
近過去で si を使うとき
近過去(passato prossimo)で非人称の si を使うときは、助動詞 essere を使います。「Si è parlato a lungo」「Si è dormito poco」「Ci si è alzati presto」のように。注意したいのは、過去分詞の一致です。動詞が普段 avere を取るタイプでも、非人称の si と組み合わさると essere を使い、過去分詞は男性複数形になります。「Si è mangiato bene」(よく食べた, mangiato 男性単数 – 動詞単独)「Si è mangiati bene」(よく食べた, mangiati 男性複数 – 形容詞補語)のように、文脈で形が変わります。
- Si è parlato a lungo della crisi economica.
経済危機について長く話された。 - Ci si è alzati presto per partire all’alba.
夜明けに出発するため早く起きた。 - Si è arrivati a Padova alle nove di sera.
夜の9時にパドヴァに着いた。
日常で使う15例文
料理, 旅行, 仕事
- In Italia si mangia presto, di solito alle otto.
イタリアでは早く食事する、たいてい8時。 - Qui non si fuma, è un locale per famiglie.
ここではタバコは吸えない、家族向けの店だから。 - Si dice che il caffè di Trento sia il migliore d’Italia.
トレントのコーヒーがイタリア一だと言われる。 - A Lucca si vive bene, l’aria è buona.
ルッカでは生活がしやすい、空気がいい。 - Si parla inglese in molti uffici di Padova.
パドヴァの多くのオフィスで英語が話される。 - Quando si è giovani, si fanno tante esperienze.
若いときは多くの経験を積むものだ。 - Ci si veste elegante per andare alla Scala di Milano.
スカラ座へ行くときはエレガントに着る。 - Si beve un caffè e si va in ufficio.
コーヒーを飲んでオフィスに行く。 - Si dorme bene in questo agriturismo, le camere sono silenziose.
このアグリツーリズムではよく眠れる、部屋が静かだから。 - Si studia molto per l’esame di stato.
国家試験のためにたくさん勉強する。 - Si lavora dal lunedì al venerdì.
月曜から金曜まで働く。 - Ci si conosce meglio col tempo.
時間が経つと互いをよく知るようになる。 - Si parte alle sette in punto.
7時きっかりに出発する。 - Si è felici quando si raggiunge un obiettivo.
目標に到達したとき幸せだ。 - Si pensa che il futuro sia incerto.
未来は不確かだと考えられる。
新聞とニュースでの非人称 si
客観的な報道のための道具
イタリアの新聞やテレビのニュースでは, 非人称の si が客観性を保つための重要な道具として頻出します。「Si dice che il governo intervenga sui prezzi.(政府が価格に介入すると言われている)」「Si pensa che la situazione possa migliorare.(状況が改善する可能性があると考えられる)」「Si è discusso a lungo della riforma.(改革について長く議論された)」のような表現は, 発信者が個人として意見を述べるのではなく, 一般的な情報を伝える形を作ります。
政治家の発言や報道では「si dice che + 接続法」が頻繁に登場します。情報源を明確にせずに「と言われている」「と考えられている」と伝えるための, ニュアンス豊かな構文です。日本人がイタリアのニュースを読むようになると, 非人称の si が文章のあちこちで現れ, 慣れていないと「誰が言っているのか」がわかりにくく感じることもあります。形を覚えてしまえば, 一気に読解が楽になります。
- Si ritiene che la crescita economica continui anche nel 2026.
2026年も経済成長が続くと考えられている。 - Si è registrato un aumento dei turisti a Padova quest’estate.
この夏、パドヴァで観光客の増加が記録された。 - Si prevede pioggia per il fine settimana in tutto il nord Italia.
週末は北イタリア全土で雨が予想される。
ビジネスとアカデミックでの非人称 si
論文と報告書での重み
ビジネスメール, 学術論文, 公式な報告書では, 非人称の si が客観的な記述を支える土台になります。「Si nota un calo delle vendite nel terzo trimestre.(第3四半期に売上の減少が確認される)」「Si conclude che la strategia debba essere rivista.(戦略を見直すべきだと結論づけられる)」「Si suggerisce di adottare nuove misure.(新しい措置を採用するよう提案される)」のような形は, 個人的な意見ではなく専門的・客観的な視点として議論を進めるための定番です。
論文や卒業論文を書くときの注意点が二つあります。一つ目は, 非人称の si を多用しすぎると単調になることです。文章のリズムを保つために, 受動形や三人称複数(gli studiosi ritengono…)と混ぜます。二つ目は, 文末に「si è」と書くと過去分詞の一致を忘れがちなので, 必ず確認することです。「Si è osservato un fenomeno」(現象が観察された – 単数)と「Si sono osservati molti fenomeni」(多くの現象が観察された – 受動 si で複数)の区別が大切です。
- Si evidenzia un cambio di tendenza nel mercato del lavoro.
労働市場でのトレンドの変化が浮き彫りになる。 - Si propone di estendere il progetto ad altre regioni.
プロジェクトを他の地域へ拡大することを提案する。 - Si è dimostrato che la nuova politica funziona.
新しい政策が機能することが証明された。
使用説明書とレシピでの si
「方法を伝える」道具
イタリアで何かの使い方を教える文章では, 非人称の si が大活躍します。料理レシピ, 家電の取扱説明書, 旅行ガイドブック, 学校の案内書, 観光地の説明パネル. 「Si mescola la pasta con il sugo.(パスタとソースを混ぜる)」「Si scalda la pentola a fuoco medio.(鍋を中火で温める)」「Si visita il museo in due ore.(美術館は2時間で訪れられる)」のように, 「人は」「あなたは」「みなさんは」と一般的に語る形が便利です。誰でもできるという含みが文に響きます。
レシピでとくに頻出する形があります。「Si prende, si aggiunge, si mescola, si serve」のリズミカルな連続です。「Si prende una ciotola, si aggiunge la farina, si mescola con l’olio, si cuoce a 180 gradi.(ボウルを取り, 小麦粉を加え, オイルと混ぜ, 180度で焼く)」。料理本を読むとき, この si の連続が「次は何を?」というリズムを生みます。日本人がイタリア料理を学ぶときの最初の壁の一つですが, 慣れると非常に便利な構文です。
- Si prende il pane raffermo e si taglia a cubetti.
固くなったパンを取り, 角切りにする。 - Si aggiunge il sale alla fine della cottura.
調理の最後に塩を加える。 - Si scarica l’applicazione, si registra il proprio account, si comincia a usare.
アプリをダウンロードし, アカウントを登録し, 使い始める。
日本人がつまずくポイント
三つの落とし穴
日本語話者が 非人称の si でつまずく主な理由は三つです。一つ目は、非人称 si と受動 si を混同すること。目的語があるかないかで判断します。「Si vendono case」(受動)「Si vive bene」(非人称)の違いを意識しましょう。二つ目は、形容詞補語を単数形にしてしまうこと。「Si è stanco」は誤りで、慣習として「Si è stanchi」と複数形を使います。三つ目は、再帰動詞のときに ci を忘れること。「Si alza presto」(一般的に早起き)は不自然で、再帰動詞 alzarsi なら「Ci si alza presto」と ci を加えます。
会話
dialogo
ヴェネツィアのカフェで、エミがイタリア人のアレッサンドロに、イタリアの日常生活について質問しています。非人称の si が自然に出てくる場面です。
👩🏻🦳 Emi: Alessandro, a che ora si mangia di solito in Italia?
アレッサンドロ、イタリアではいつもどんな時間に食べる?
👨🏾 Alessandro: A pranzo si mangia verso l’una, a cena verso le otto.
昼は1時頃、夜は8時頃に食べるよ。
👩🏻🦳 Emi: Si beve molto caffè?
コーヒーはたくさん飲む?
👨🏾 Alessandro: Sì, si dice che gli italiani bevano almeno tre caffè al giorno.
うん、イタリア人は1日に少なくとも3杯コーヒーを飲むって言われてる。
👩🏻🦳 Emi: E come ci si veste per andare al lavoro?
仕事に行くときはどんな服を着る?
👨🏾 Alessandro: Dipende dalla città. A Milano ci si veste eleganti, in altre città di più informali.
街によるよ。ミラノはエレガントに、他の街はもっとカジュアル。
👩🏻🦳 Emi: Ci si trova bene a Venezia?
ヴェネツィアは過ごしやすい?
👨🏾 Alessandro: Si vive bene, ma si lavora tanto nel turismo. È una città che non si dimentica facilmente.
住みやすいけど、観光業はたくさん働く。簡単に忘れられない街だよ。
🎯 ミニチャレンジ
mini sfida
🎯 ミニチャレンジ。動詞を非人称の si で書き直してください。形容詞補語の数にも注意。
- (mangiare, in Italia) ___ presto la sera.
- (vivere, qui) ___ bene.
- Quando (essere, giovani) ___ giovani, ___ fa di tutto.
- (alzarsi, in vacanza) ___ tardi.
- (parlare, qui) ___ inglese.
👉 答えを見る
1. Si mangia(非人称 si + 3人称単数)
2. Si vive(自動詞 + 非人称 si)
3. si è giovani, si fa(補語複数 giovani, 非人称 si + fa)
4. Ci si alza(再帰動詞は ci si)
5. Si parla(目的語なし – 非人称 si)
クイズ
quiz
理解できたか、クイズで確認しましょう。
(クイズ準備中)
よくある質問
Domande frequenti
非人称の si について、日本人学習者からよく寄せられる質問をまとめました。
非人称の si と受動の si はどう違いますか?
目的語があるかないかで判断します。目的語があれば受動の si で、動詞は目的語の数に一致します(Si vendono case – case 複数, vendono 複数)。目的語がない(自動詞や目的語のない他動詞)なら非人称の si で、動詞はつねに3人称単数(Si vive bene, Si parla qui)。判断のコツは「動詞のあとに名詞があり, それが意味的な主語か」を確認することです。
形容詞補語はなぜ複数形ですか?
非人称の si は一般的な「人」を主語にするため、複数の人を含意します。そのため、形容詞や名詞補語が続くときは慣習として複数形になります。「Si è stanchi」(疲れている, 複数)「Quando si è giovani」(若いとき, 複数)のように。日本語の「人は疲れる」を「みんな疲れる」と発想すると分かりやすくなります。
再帰動詞のときの ci si は何ですか?
再帰動詞(alzarsi, vestirsi, divertirsi など)と非人称の si を組み合わせると、再帰代名詞 si と非人称 si が連続してしまいます。これを避けるため、再帰代名詞を ci に変えて「ci si」とします。「Ci si alza presto」(早く起きる)「Ci si veste elegante」(エレガントに着る)「Ci si diverte molto」(とても楽しむ)のように。文法的な必要性から生まれた形です。
近過去で si を使うときの注意は?
助動詞は essere を使います。動詞が普段 avere を取るタイプでも、非人称 si と組み合わさると essere になります。過去分詞は男性単数または男性複数になります。動詞単独なら男性単数「Si è mangiato bene」(よく食べた), 形容詞補語があれば男性複数「Si è mangiati tanto」のように。慣れるまで間違えやすいので、書いたあとで確認する習慣をつけましょう。
si dice che のあとは何ですか?
si dice che のあとは, 主張の確信度で時制が変わります。事実として伝えるなら直説法「Si dice che è inglese」(彼はイギリス人だと言われる – 事実として)。意見や噂として伝えるなら接続法「Si dice che sia inglese」(彼はイギリス人らしい – 不確かに)。Treccani も両方の用法を認めていて、書き言葉では接続法のほうがフォーマルです。
試験(伊検2級・準1級)に出ますか?
はい、頻出します。書き換え問題で能動文を si 構文に変換, 受動 si と非人称 si の区別問題, 過去分詞の一致問題が定番です。準1級の作文では, 非人称 si を自然に使えると, 客観的で抽象的な表現力が示せます。日常的に短い文を作って練習しておきましょう。




