「早く行け!」「一緒に行こう!」「静かにして!」…これらはすべてイタリア語の命令法の表現です。イタリア語の命令法(modo imperativo)は命令・禁止だけでなく、誘いやアドバイスにも使われ、日常会話に欠かせない表現です。規則活用から不規則動詞、否定形まで、ネイティブ音声付きで丁寧に解説します。
Cosa impareremo oggi
目次
イタリア語の命令法(modo imperativo)はイタリア語の中でも特に生き生きとした表現のひとつです。街を歩けば看板にも、家族の会話にも、友人同士のやりとりにも、命令法はあふれています。「Mangia!(食べなさい!)」「Andiamo!(行こう!)」「Non correre!(走らないで!)」。これだけ見ても、命令や指示から、誘いや注意まで、幅広く使われることがわかります。
命令法の活用形は tu(君)、noi(私たち)、voi(君たち)の3つが基本です。参考書によっては Lei(敬語の「あなた」)の形も載っていますが、それは接続法現在形から来るもので、今回はあえて省きます。まず tu・noi・voi の3形をしっかり覚えてください。この3つが使えれば、日常会話の命令法は十分です。
A cosa serve l’imperativo?
命令法はいつ使う?
Imperativo といっても、「命令」だけに使うわけではありません。実はいくつかの使い方があって、これを知っておくと表現の幅がぐっと広がります。
- 命令・指示:Chiudi la porta! (ドアを閉めなさい!)
- 禁止:Non toccare! (触らないで!)
- 勧誘(noi):Andiamo al cinema! (映画に行こう!)
- アドバイス・お願い:Mangia qualcosa, dai! (何か食べなよ、ほら!)
Osserva:
noi の命令形は「~しよう」という意味になります。英語の “Let’s go” に相当するのが “Andiamo!” です。これはイタリア人が日常的によく使うフレーズで、口調次第で「行け!」にも「おいで」にも「こちらへどうぞ」にも聞こえるのが命令法の面白いところです。
La coniugazione regolare
規則活用の活用表(音声付き)
イタリア語の命令法の規則活用は、直説法現在形(presente indicativo)と非常によく似ています。ただし、-are 動詞の tu の形だけは違うので注意が必要です。
| -are parlare | -ere correre | -ire aprire | -ire (2) finire | |
|---|---|---|---|---|
| tu | parla | corri | apri | finisci |
| noi | parliamo | corriamo | apriamo | finiamo |
| voi | parlate | correte | aprite | finite |
La regola chiave:
-are 動詞の tu の命令形は語尾が -a になります(現在形の -i と混同しやすい!)。たとえば parlare の tu は、命令形 Parla!、現在形 Parli と語尾が違います。-ere 動詞と -ire 動詞の tu 形は現在形と同じなので、-are 動詞のこの例外だけを意識しておけば大丈夫です。
実際の例文を音声と一緒に確認してみてください:
-are 動詞の例文
- Hai fame? Mangia!
お腹が空いてる?食べなさい! - E’ ora, andiamo!
時間だ、行こう! - Ascoltate la canzone!
(君たち)音楽を聴いて! - Guarda quella casa!
あの家を見て!
-ere 動詞の例文
- Leggi questo libro!
この本を読みなさい! - Corriamo, e’ tardi.
走ろう、もう遅い。 - Vedete questo film!
(君たち)この映画を見て!
-ire 動詞の例文
- Finisci i compiti!
宿題を終わらせなさい! - Puliamo la casa!
家を掃除しよう! - Dormite, e’ tardi!
(君たち)寝なさい、もう遅いでしょう!
La forma negativa
否定命令形
否定命令形にすると「~するな」「~しないで」という禁止の意味になります。ここで大切なのが、tu だけルールが違うという点です。
Attenzione: le due regole
TU の場合:non + 動詞の不定詞(原形)
- Non parlare! (話さないで!)
- Non correre! (走らないで!)
- Non partire oggi! (今日は出発しないで!)
NOI / VOI の場合:non + 命令形(現在形と同じ)
- Non parliamo adesso! (今は話さないでいよう!)
- Non andiamo al cinema! (映画に行かないでいよう!)
- Non rispondete al telefono! ((君たち)電話に出ないで!)
この否定形のルール、特に tu では「non + 不定詞」になる点は、初めて学ぶ方には少し意外に感じるかもしれません。比較してみてください:
- (tu) Mangia! (食べなさい!) → (tu) Non mangiare! (食べるな!)
- (noi) Andiamo! (行こう!) → (noi) Non andiamo! (行かないでいよう!)
- (voi) Rispondete! (答えなさい!) → (voi) Non rispondete! (答えないで!)
現在形との違いについては現在形の規則動詞のレッスンもあわせて参照してください。
n
Per vedere in dettaglio l’imperativo italiano: Treccani.
nn
では不規則動詞の活用を見ていきます。essere、avere、sapere の3つは特に重要です。
I verbi irregolari
不規則動詞:essere, avere, sapere
イタリア語の命令法には不規則活用をする動詞があります。最も大切なのは essere(~である)と avere(持つ)の2つ。それに sapere(知る)も覚えておきたい動詞です。
| essere | avere | sapere | |
|---|---|---|---|
| tu | sii | abbi | sappi |
| noi | siamo | abbiamo | sappiamo |
| voi | siate | abbiate | sappiate |
| tu (negativo) | non essere | non avere | non sapere |
ESSERE の例文
- Sii buono!
良い子にしていなさい! - Siamo ragionevoli!
冷静でいよう! - Siate felici!
(君たち)幸せでいなさい! - Non essere stupido!
馬鹿なことをするな!
AVERE の例文
- Abbi forza!
頑張れ! - Abbiamo fiducia!
信じよう! - Abbiate pazienza!
(君たち)我慢しなさい! - Non avere paura!
怖がらないで!
SAPERE の例文
- Sappi che sto bene!
私は大丈夫だと知っておいて。 - Sappiate che vi penso!
君たちのことを思っていると知っておいて。
I verbi con l’apostrofo
アポストロフォのある動詞:andare, dare, dire, fare, stare
もうひとつ注意が必要な動詞のグループがあります。andare(行く)、dare(与える)、dire(言う)、fare(する)、stare(いる)の5つです。これらは tu の命令形が2通りあり、どちらを使っても構いません。
アポストロフォ(’)はアクセント記号ではなく省略を表す記号です。
| andare | dare | dire | fare | stare | |
|---|---|---|---|---|---|
| tu | va’ / vai | da’ / dai | di’ | fa’ / fai | sta’ / stai |
| noi | andiamo | diamo | diciamo | facciamo | stiamo |
| voi | andate | date | dite | fate | state |
| tu (negativo) | non andare | non dare | non dire | non fare | non stare |
- Va’ a scuola, e’ tardi.
学校へ行きなさい、遅れているよ。 - Da’ una mano a Mario.
マリオに手を貸してあげて。 - Fa’ del tuo meglio.
最善を尽くしなさい。 - Di’ a Luca di venire a casa.
ルーカに家に来るよう言って。 - Sta’ qui, non ti muovere.
ここにいて、動かないで。
Nota:
これらの動詞は、命令形に補語代名詞(mi, ti, ci, lo, la など)をつけると子音が重なります。例:da’ + mi = dammi(私に渡して)、di’ + mi = dimmi(話して)、fa’ + lo = fallo(それをやって)。代名詞との組み合わせは命令形と補語代名詞のレッスンで詳しく扱っています。
Errori tipici dei giapponesi
日本人が間違えやすいポイント
日本人学習者がイタリア語の命令法で特につまずくポイントを整理しました。
1. -are 動詞の tu の語尾を間違える
- ❌ Tu parli! (現在形になっている) → ✅ Tu parla!
- ❌ Mangi subito! → ✅ Mangia subito! (すぐ食べて!)
2. tu の否定形で命令形をそのまま使ってしまう
- ❌ Non parla! → ✅ Non parlare! (tu の否定は不定詞)
- ❌ Non mangia! → ✅ Non mangiare!
3. essere の命令形を現在形と混同する
- ❌ Sei buono! → ✅ Sii buono! (「Sei buono」は現在形で「君は良い子だ」という意味。命令形は sii です)
Come funziona: un trucco utile
tu の否定命令形で迷ったときは、「non + 不定詞(辞書形)」と覚えておくと整理しやすいです。Non parlare、non venire、non andare… この形は変わりません。noi と voi の否定は、肯定命令形の前に non をそのまま付けるだけです。
命令法の使い方をもっと知りたい方には、接続法現在のレッスンもおすすめです。敬語(Lei)の命令形は接続法現在から来るので、2つを並べて学ぶとすっきり整理できます。
Dialogo: Haruka e Matteo in cucina
対話:HarukaとMatteoの料理
👩🏻 Haruka と 👨🏻 Matteo が一緒に料理をしています。命令法がどのように自然な会話で使われているか、よく見てみてください。
- 👨🏻 Matteo: Haruka, metti l’acqua sul fuoco, per favore!
Haruka、お湯を火にかけてくれる? - 👩🏻 Haruka: Come faccio? Non so cucinare bene.
どうやるの?私、料理があまり得意じゃなくて。 - 👨🏻 Matteo: E’ semplice! Prendi la pentola grande, mettici l’acqua e accendi il gas.
簡単だよ!大きい鍋を取って、水を入れてガスをつけて。 - 👩🏻 Haruka: Cosi’?
こう? - 👨🏻 Matteo: Si’, benissimo. Adesso taglia le verdure. Ma sta’ attenta con il coltello!
そう、よくできた。今度は野菜を切って。でもナイフには気をつけて! - 👩🏻 Haruka: Non ti preoccupare, so usare i coltelli. Facciamo la pasta?
心配しないで、ナイフの使い方は知ってるよ。パスタを作ろうか? - 👨🏻 Matteo: Certo! Aspetta che l’acqua bolla. Non mettere ancora il sale, e’ troppo presto.
もちろん!お湯が沸くのを待って。塩はまだ入れないで、早すぎるから。 - 👩🏻 Haruka: Capito! Andiamo, voglio assaggiare!
わかった!さあ始めよう、早く食べてみたい!
Cosa notiamo nel dialogo:
この対話には命令法が8つ登場します。Metti(-ere 動詞 tu)、prendi(tu)、accendi(tu)、taglia(-are 動詞 tu、語尾 -a に注目)、sta’ attenta(アポストロフォのある動詞)、aspetta(tu)、non mettere(tu の否定形 = non + 不定詞)、andiamo(noi、誘いの表現)。特に注目したいのは「Non ti preoccupare」(心配しないで)という表現。これも tu の否定命令形です。フレーズとして丸ごと覚えてしまいましょう。
Mini-sfida
ミニチャレンジ
🎯 Mini-sfida(ミニチャレンジ): 次の動詞を正しい命令形にしてください。
- (tu / parlare) ___________ piano! (小さな声で話して!)
- (noi / andare) ___________ al parco! (公園へ行こう!)
- (tu / non usare) ___________ il cellulare! (携帯を使わないで!)
- (tu / fare) ___________ una passeggiata! (散歩しなさい!)
- (voi / essere) ___________ pronti per le 8! (8時には準備しておきなさい!)
- (tu / dire) ___________ la verita’! (本当のことを言って!)
Risposte: 1. Parla / 2. Andiamo / 3. Non usare / 4. Fa’ (または Fai) / 5. Siate / 6. Di’
今回はイタリア語の命令法の基礎から不規則動詞まで一通り学びました。規則活用の3つの人称(tu、noi、voi)、tu だけが違う否定形のルール、essere・avere・sapere の不規則活用、そして andare・dare・dire・fare・stare のアポストロフォのある動詞。覚えることが多いように見えますが、日常会話でよく使うフレーズを丸ごと暗記するのが一番の近道です。「Andiamo!」「Dai!」「Sta’ tranquillo!」といった表現から始めてみてください。
イタリア語の命令法と補語代名詞の組み合わせ(dimmi、dammelo など)については命令形と補語代名詞のレッスンで詳しく学べます。補語代名詞そのものについては直接・間接補語代名詞の完全ガイドも参考にしてください。
命令法の歴史的な背景や語形変化については、Wikipediaのイタリア語動詞の項目にも詳しい解説があります。
Alla prossima lezione!
イタリア語の命令法(imperativo)は何人称で使いますか?
イタリア語の命令法は通常 tu(君)、noi(私たち)、voi(君たち)の3つの人称で使います。tu は相手一人に命令や指示をするとき、noi は「一緒に~しよう」という勧誘の表現、voi は複数の相手に対して使います。参考書によっては敬語の Lei や Loro の形も載っていますが、これらは接続法から来るもので、日常会話ではまず tu・noi・voi の3つを覚えることが先決です。
-are動詞のイタリア語命令法でよく間違えるポイントは何ですか?
-are 動詞の tu の命令形は語尾が -a になります(例:parlare → Parla!)。一方、直説法現在形の tu は語尾が -i(Parli)です。この違いを間違えやすいのが日本人学習者の典型的なミスです。-ere 動詞と -ire 動詞の tu 形は現在形と同じなので、-are 動詞のこの例外だけを特に意識して覚えておいてください。
イタリア語の命令法で「~するな」はどう作りますか?
tu の場合は non + 動詞の不定詞(原形)で作ります(例:Non parlare! = 話さないで!)。noi と voi の場合は non + 通常の命令形をそのまま使います(例:Non parlate! = 話さないで!)。特に tu の否定形が「non + 不定詞」になる点は間違えやすいので注意が必要です。Non parla! ではなく Non parlare! が正しい形です。
andare, dare, fare, stare, dire の命令形(tu形)はなぜ特別なのですか?
これらの5つの動詞は tu の命令形が短縮形になっており、アポストロフォ(’)を使います。andare は va’ または vai、dare は da’ または dai、fare は fa’ または fai、stare は sta’ または stai となります。dire だけは di’ という形のみです。どちらの形を使っても意味は同じです。さらにこれらの動詞に補語代名詞をつけると子音が重なる変化が起きます(da’ + mi = dammi など)。
essere と avere のイタリア語命令法はなぜ不規則なのですか?
essere(sii / siamo / siate)と avere(abbi / abbiamo / abbiate)は直説法現在とは全く異なる形になります。これらは特別な由来を持つ不規則活用で、規則から作ることができません。使用頻度が高いので、フレーズごと覚えるのが効率的です。特に Sii buono!(良い子にして!)、Abbi pazienza!(我慢して!)などは日常でよく聞く表現です。
命令法を使うとき、失礼な印象にならないですか?
口調や状況によります。命令法自体が失礼なわけではなく、イタリア語ではとても自然に使われます。per favore(お願い)や dai(さあ)などの表現と組み合わせることで、依頼やお願いのニュアンスになります。Parla piano, per favore!(小さな声で話してください)のように使えば丁寧な印象になります。一方、知らない人に対して命令法だけを使うとぶっきらぼうに聞こえることもあるので、状況を選びましょう。




