イタリア語の近過去・規則動詞 – passato prossimo

近過去は過去において完了した動作・状況を叙述するもので普段の会話でよく使われます。avereとessereの助動詞としての働き、そして規則的な活用をする過去分詞について解説します。


イタリア語の過去を表現する時制には近過去、半過去、大過去、遠過去の4つがありますが近過去 ( passato prossimo )は「~した」と過去において完了した動作・状況を叙述するもので最もよく使われる過去形のひとつです。

近過去は複合時制で【 助動詞 avere / essere の現在活用】+【過去分詞】という文型をとります。動詞の過去分詞には規則動詞と不規則動詞があります。今回のブログでは規則変化をする過去分詞の近過去を学習しましょう。


★ 近過去の用法 ★


  1. 過去において完了した動作・状況
  2. 動作・状況が完結したばかりで今現在に極めて近い過去
  3. 「~したことがある」「~したことがない」という過去における経験

例文として

  • Sono andato in Italia.
    私はイタリアに行きました。

  • Giuseppe ha comprato una macchina nuova.
    ジュセッペは新車を買った。

  • Ho finito di mangiare.
    私は食べ終わりました。

  • Maria è appena arrivata.
    マリアはちょうど到着したところです。

  • Sono già stato due volte a Roma.
    ローマには2回行ったことがある。

  • Non siamo mai stati a Venezia.
    私達はヴェネツィアはまだ行ったことがない。


◆ 近過去は複合時制 ◆


【 助動詞 avere / essere 現在形】+【過去分詞】 

近過去 essere avere
+
過去分詞
io sono ho
-ato
tu sei hai
lui/lei è ha
-uto
noi siamo abbiamo
voi siete avete
-ito
loro sono hanno

◆過去分詞(participio passato) 

過去分詞はこの近過去の他、別の過去を叙述する時制で使われます。また形容詞として使われたり受動態の文を作る時にもこの過去分詞は必須となるので変化規則をきちんと覚えましょう。

また不規則に変化する過去分詞もあります。不規則活用の過去分詞を使う近過去については別のブログで詳しく紹介します。

《規則変化をする過去分詞の作り方》

  • -are動詞 ⇒  -ato  
    例) mangiare → mangiato, cucinare → cucinato
  • -ere動詞 ⇒  -uto 
    例) credere → creduto, piovere → piovuto
  • -ire動詞  ⇒  -ito
    例) capire → capito, finire → finito


◆助動詞としてのavereとesssere

近過去は【avere又はessere の直説法現在+過去分詞】の複合時制で作られますがどのような場合に助動詞にavereを使い、どのような場合にessereを使うのかみていきましょう。

◇助動詞avere;

助動詞としてavereをとるのは動詞が他動詞 verbi transitivi (目的語をとる動詞)のときです。またいくつかの自動詞は助動詞としてavereをとります。abitare(住む)、lavorare(働く)、correre(走る)などがその例です。例文を見てみましょう。

  • Ho mangiato un panino.
    私はパニーノをひとつ食べました。

  • Avete fatto i compiti?
    (あなた達は)宿題をしましたか?

  • Ieri Anna ha lavorato fino a tardi.
    昨晩アンナは遅くまで働いた。

  • Abbiamo abitato a Milano per tre anni.
    私達は3年間ミラノに住んでいた。

◇助動詞essere;

助動詞としてessereをとるのは動詞が自動詞 verbi transitiviであり状態や存在、変化を示す動詞や移動を表す動詞のときになります。また再帰動詞というものがessereを助動詞にとります。

自動詞で移動や動きを表す動詞の時には助動詞essereが基本的なルールですが、言語にはどうしても例外があり例えば camminare (歩く) viaggiare (旅行する) 、 correre (走る)など動きを表す自動詞ですが助動詞としてavereをとります。このような例外的なものは経験的にひとつずつ習得するしかありません。

  • Giuliana è nata nel 2001.
    ジュリアーナは2001年に生まれた。

  • Paolo è rimasto a casa ieri.
    昨日パオロは家にいた。

  • Siamo andati a Milano la settimana scorsa.
    先週私達はミラノに行った。

✍ 助動詞に essere をとる場合は過去分詞の語尾を主語の性と数に合わせる。

例)動詞 andare

  • Mario è andato a Firenze.
    ※男性・単数
  • Maria è andata a Roma.
    ※女性・単数
  • Mario e Luigi sono andati a Napoli.
    ※男性・複数
  • Maria e Luisa sono andate a Venezia.
    ※女性・複数
  • Mario e Maria sono andati a Bologna.
    ※ここでの主語は男性と女性。一人でも男性を含む場合、複数の性は男性に合わせる


冒頭でもふれたようにイタリア語の過去を表す叙法はいくつかありますがこの近過去とそして半過去という叙法が通常よく使われます。

それではどこが違うのか? 近過去の用法をより理解するために例文を見ながら①近過去と半過去の比較、そして②近過去と遠過去の比較をざっくりとみてみましょう。

◆ 近過去(passato prossimo) VS 半過去(imperfetto)◆

  1. Sono andato a Roma la scorsa settimana.  
  2. Andavo a Roma quando ero piccolo.

まず(1)の文が近過去です。意味は「先週私はローマに行きました。」です。この例文に見られるように一回切りの動作が完了した過去の出来事、過去の時期も”先週=la scorsa settimana” とはっきりしています。

一方で(2)の文は半過去で意味は「私は幼い頃、ローマに(反復的に)行っていました。」です。実はこの例文には二つ半過去の動詞が含まれています。まず”Andavo”は過去において習慣的・反復的に行われていた過去の動作を表します。つまり1回だけの過去の経験ではなく幼い頃は習慣的にローマに行っていたというニュアンスになります。二つ目の半過去は”ero”でこれは時期が明確ではない過去の期間に継続した状態や動作をいうときに使う表現になります。

◆ 近過去(passato prossimo) VS 遠過去(passato remoto)◆

  1. Mario è nato a Firenze nel 2000 .
  2. Dante nacque a Firenze nel 1265.

まず(1)の文は近過去で意味は「マリオは2000年にフィレンツェで生まれました。」です。(2)の遠過去の意味は「ダンテは1265年にフィレンツェで生まれました。」となり日本語では変わりがないように思えます。

しかし近過去は現在にも影響している過去、つまりマリオはまだ生きています。一方ダンテはご存じの通りあのダンテ・アリギエーリであり生まれたのは遠い昔の1265年です。このように現在とは無関係で遠い昔にできた過去を述べるときは遠過去が使われます。

用法の違いがあるものの最近は口語的には遠過去を近過去で代用してしまうことが多くなってきているのが現状です。
(2)の例文をもし Dante è nato a Firenze. と書き換えてみましょう。文法的には最も正確な言い方ではありませんが間違えともいえません。しかし(1)の例文はMario nacque a Firenze. と遠過去で言い換えるのは間違えですので注意してください。


イタリア語の近過去・規則動詞 – エクササイズ

助動詞として avere なのか essereなのかクイズに挑戦して理解度をチェックしてみてください。

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このブログのクイズ

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Buona fortuna!

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いかがでしたか、近過去のブログ第一弾。覚えることがたくさんあるように見えますがルールを覚え、あとは口に出していくことが大切です。是非dante-learningのメンバーになって会話としてのイタリア語力も延ばしてください。引き続き近過去の不規則動詞のブログもありますので楽しみにしていてください。

フォトクレジット Antonello da Messina – Ritratto di un uomo

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Mariko & Riccardo
留学経験や豊富なイタリア語教授経験を活かし、小さなスクールならではのアットホームで個々のニーズに対応したサービス提供をモットーとする。 無類の猫好き、そして美味しいものが大好きでイタリアや日本の食文化をこよなく愛する。最近は食への探求心から家庭菜園でズッキーニやちょっと珍しいトマトを栽培中

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