コンクラーベ-conclave 新ローマ法王選出の秘密会議
conclave (コンクラーベ)とは新ローマ法王を決定するための秘密会議のことです。ローマ法王が退位すると次期ローマ法王を決定するため選挙権を持った枢機卿がバチカン市国にあるシスティーナ礼拝堂に集合し秘密会議をします。
枢機卿はカトリック教会ではローマ法王に次ぐ高位聖職者で、コンクラーベに参加できるのは枢機卿の中でも80歳未満に限るという条件があります。2013年3月時点、法王選出時には世界各国にいる枢機卿(枢機卿の出身地はヨーロッパの他、北アメリカ、中南米、アジア、アフリカ、オセアニアから構成)117名。法王に選ばれる資格をもつ人物はこの枢機卿の中から選ばれ、会議に出席した3分の2以上の賛成票を得る必要があります。
conclaveはラテン語で「鍵がかかった」という意味で、その名の通り以前は会議終了まで枢機卿はシスティーナ礼拝堂に錠を掛けられ缶詰状態にされていたそうです。コンクラーベは新法王決定まで何回も続けられます。
システィーナ礼拝堂の煙突から黒煙が上がると“今回のコンクラーベでは法王は決定されなかった”ことを意味します。そして白煙が上がると新法王決定の知らせになります。
一番最後に行われたコンクラーベは記憶にも新しい去年の3月のこと。通常、コンクラーベは法王が亡くなられたときに行われますが今回は前ローマ法王であったベネディクト16世が“存命中の退位”という約600年ぶりに生じた歴史的に異例のコンクラーベでした。11億人の信者をもつカトリック教のトップであったベネディクト16世は高齢による体力と精神の限界から苦渋の選択をしました。
前法王であったベネディクト16世が存命中の退位を表明したのが2013年2月28日。その後新ローマ法王を決定するため選挙権を持った枢機卿が各国からバチカン市国にあるシスティーナ礼拝堂に集合し、3月12日からコンクラーベが始まりました。通常コンクラーベは前法王の死去後15-20日後に開始されますが今回は3日ほど前倒しして開始されました。歴史的にも衝撃的な形で始まったコンクラーベは小雨が降るなか世界中の人々の注目を集めました。
5回目のコンクラーベでイタリア時間の3月13日19時過ぎ、第266代ローマ法王に選出されたのはアルゼンチンのブエノスアイレス出身のフランチェスコ1世(本名Jorge Mario Bergoglio ホルヘ・マリオ・ベルゴリオ)。中南米初となる法王誕生に中南米だけでなく世界中が歓喜の渦に包まれました。
実はフランチェスコ1世はその前のコンクラーベ(2005年)の際に前ローマ法王・ベネディクト16世の対抗馬として接戦を繰り広げた枢機卿。しかし当時フランチェスコ1世は法王としての準備が整っていないということで退いたそうです。
フランチェスコ1世は法王就任時“貧しい人や子供達などの弱者を守ることが任務である”と言及しました。彼自身の生活習慣は実際質素だったといいます。コンクラーベ参加のためヴァチカン市国に向かった飛行機はエコノミークラスであり、普段から公共機関を使っていたといいます。コンクラーベ中に滞在していたホテルでは法王選出後、わざわざ滞在費を支払に舞い戻ったというエピソードもあるほど至って庶民感覚がある人物。ミサでは誰にでもわかりやすく心のこもった温かいメッセージを届けています。
カトリック教ではタブーとされている同性愛についても“私が裁くことはできない”とある程度理解を示した異例ともいえる発言をしたのも今までの法王とは違った一面を見せています。
今後もフランチェスコ1世の温かいメッセージと平和への願いがカトリック信者のみならず人々の心に届き続けることでしょう。