トリエステ-Trieste-
イタリア最北東部に位置するトリエステ。アドリア海に面したトリエステは歴史の中で様々な国の支配下に置かれ1954年10月26日、ようやく正式にイタリアに返還された港町である。
トリエステはイタリアの最北東にあるフリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州の町。スロベニアとの国境にある湾岸都市で中世にはハプスブルク家が君主だったオーストリア=ハンガリー帝国の重要な貿易港として栄えた町。トリエステは歴史上14世紀からナポレオン戦争までの長い間オーストリア=ハンガリー帝国の支配下であったため、旧市街を歩くとイタリアらしいというよりもウィーンなどのオーストリアの町並みに近い感じがする。
オーストリア=ハンガリー帝国の支配以外にヴェネツィア共和国(オーストリア・ハンガリー共和国の支配前)、ナポレオン軍によるフランス、そして第一次世界大戦後は一時的にイタリア王国に併合されるがその後ナチスの支配下にもなった。第二次世界大戦後はユーゴスラビアの占領、そして国連連合軍の管理地域になりようやく1954年10月26日正式にイタリアに返還された。2011年イタリアは統一150周年を迎えたがトリエステはイタリアに統合されてから60年も経っていないのだ。時代の移り変わりと共に様々な文化の影響を受けて今日に至るトリエステには独特な雰囲気が漂っている。
車でイタリア本島からトリエステに向かうとイタリア語のとスロベニア語のの標識が目に飛び込む。既に異国情緒な感じがする。イタリアは地方毎の方言が独特だがトリエステの人たちが話すイタリア語も独特なアクセントがあるそうだ。
食文化もスタンダードなイタリア料理の他、ドイツやオーストリアの影響を強く受けており豚肉がメインのソーセージとザワークラウト(キャベツの酸っぱい付け合せ)やビールが十分楽しめる。豚のソーセージやプロシュットを存分に楽しめるトリエステで人気のあるオステリアはトリエステ番外編で紹介する。
食文化といえばエスプレッソの有名メーカー illy(イリィ)。このillyの本社はトリエステにある。illyのエスプレッソ豆は海外でも高いがイタリアでも他メーカーのものと比べると高い。しかし味は一番というイタリア人は少なくない。町を歩くと何軒もillyを扱っているバールに突き当たる。illytecaというillyのエスプレッソ豆はもちろんのことエスプレッソカップやスプーンなどを扱うilly専門ブティックもあるくらいだ。
さて早速トリエステの旧市街に入り観光をしてみよう。
車で訪れるのが便利だがトリエステには鉄道も通っている。鉄道から来て最初に出くわす見どころは大運河(Canale Grande)。大運河といっても短い運河があるだけだ。しかし目の前に広がるアドリア海との調和は素晴らしい。季節によってはこの大運河でカヌー競技が行われている。運河沿いにある青空市場でお買い物をした後にカヌー競技を見ながらバールでillyカフェを飲むのもいい。
アドリア海を背にして大運河の右側にあるのが正教会のサン・スピリドーネ教会( San Spiridione)。5つの青いドームを持ち、外観からもどことなく東ヨーロッパの香が漂う。そしてこのサン・スピリドーネ教会のすぐ近くには19世紀中旬に完成したサン・アントニオ ヌゥオーヴォ(Chiesa di Sant’Antonio Nuovo。 Chiesa di Sant’Antonio Taumaturgoとも言われる)がある。こちらはカトリックの教会で新古典主義建築のひとつである。
色々なお店がある通りを歩き海岸沿い通りをいくとあの有名なイタリア統一広場(Piazza Unità d’Italia)に出る。ここに立つとオーストリア=ハンガリー帝国支配の影響を感じる。建物や広場から感じる空気はイタリアの一般的なものとはなんだか異なる。かつてあのムッソリーニがこの広場で演説をした声が聞こえてきそうだ。
イタリア統一広場は海に面した広場でヨーロッパ最大のもの。アドリア海を背に正面には市庁舎があり、左側には壁の装飾がなんとも美しい県庁舎が( Palazzo del governo)ある。県庁舎の裏側にはヴェルディ劇場がある。
市庁舎(Palazzo del Municipio)はトリエステの建築家ジュゼッペ・ブルーニGiuseppe Bruniによるもの。市庁舎の中央上部には鐘があり二人のムーア人が時の鐘を鳴らしている。オリジナルは現在、丘の上にあるサン・ジュスト城に置かれている。
昼間はイタリア統一広場にあるバールでゆっくりと時間を過ごしたり、海側から広場全体を眺めながら日向ぼっこしたりするのもいい。夜は広場全体が幻想的にライトアップされ昼間とはまた違った顔を見せてくれるので時間が許されるのならば1泊はトリエステで過ごしたいものだ。
アドリア海に面したヨーロッパ最大の広場を楽しんだら、今度は丘の上へ行きトリエステの町を眺めてみよう。トリエステのブログはその2に続く-continua-
トリエステ-Trieste-