questi quegli 文語代名詞 完全ガイド|マンゾーニとヴェルガの「彼」 (C1)

🔍 ひとことで言うと。イタリア語のquestiquegli は文学作品に出てくる古典的な代名詞で, 「彼」を意味します。「Questi affermava di non sapere nulla; quegli, invece, sosteneva il contrario.(こちらは何も知らないと主張し、あちらは逆を主張していた)」のような形で, マンゾーニ『婚約者』, ヴェルガ, ピランデッロ, タブッキの作品で頻出します。現代会話では使われませんが, 文学を読むうえで知っておきたい重要な代名詞です。C1・伊検準1級から1級にかけて読解で出会う可能性があります。questi(こちらは, 前述者)と quegli(あちらは, 後述者)の区別がポイントです。


questi と quegli の基本
文語的な「彼」

マンゾーニ『婚約者』を原文で読み始めると, こんな表現に出会います。「Don Rodrigo era inquieto; questi non sapeva come comportarsi.(ドン・ロドリーゴは落ち着かなかった。こちら(=彼)はどう振る舞えばいいかわからなかった)」。questiが「彼」を意味しています。普通の「lui」「egli」とは違う響きで, やや古典的・文語的な響きがあります。これがquestiquegliの用法です。両方とも男性単数の三人称代名詞で「彼」を意味しますが, 指す対象が違います。

questi と quegli はもともと指示形容詞 questo(この)と quello(あの)の文語的な代名詞形です。questi は「直前に言及された人」を指し, 「これ・こちらの人」のニュアンス。quegli は「以前に言及された人」または「もう一方の人」を指し, 「あの人・あちらの人」のニュアンス。二人の人物が会話に登場するときに, 「こちらは〜, あちらは〜」と区別するのに使います。日本語の「これ」と「あれ」, または「前者は」「後者は」の感覚に近いです。

使用は現代会話では消滅しています。日常会話で「Questi è mio amico, quegli è mio fratello」とは絶対に言いません。代わりに「Lui è mio amico, l’altro è mio fratello」のように。questi と quegli は文学作品の地の文でのみ生き残っており, マンゾーニ, ヴェルガ, ダンヌンツィオ, タブッキ, エーコのような作家を原文で読むときに必ず出会います。試験では読解問題で出題されることがあるので, 形と意味を覚えておきましょう。

区別のルール
questi = 後者, quegli = 前者

questi と quegli の区別は明確なルールに従います。questi は文中であとに言及された人(=「後者」「これ」)を指します。quegli は文中で先に言及された人(=「前者」「あれ」)を指します。「Marco e Luca arrivarono insieme: questi era stanco, quegli era allegro.(マルコとルカは一緒に着いた。後者(=ルカ)は疲れていて, 前者(=マルコ)は陽気だった)」のように使います。日本語の「前者・後者」の概念とほぼ同じで, 整理しやすいです。

注意したいのは, questi と quegli は変化しないこと。男性単数のみで, 女性形や複数形はありません。女性なら「costei」(こちら、女性), 文語的な「lei」, または「l’una… l’altra」のような表現を使います。複数の人を指すときも questi と quegli は使えず, 「i primi… i secondi」のような表現にします。男性単数の二人を比較するときのみ使う, 非常に限定的な代名詞です。

代名詞指す対象意味
questiあとに言及された男性(後者)これ、こちら、後者
quegli先に言及された男性(前者)あれ、あちら、前者
costuiこちらの男性(やや軽蔑的)こいつ、こちら
costeiこちらの女性こちら(女性)
coluiあちらの男性あちら(男性)
coleiあちらの女性あちら(女性)

文学作品での例
マンゾーニからエーコまで

マンゾーニ『婚約者』では二人の対立する登場人物を描写するときに questi と quegli が活躍します。「Don Rodrigo trattava col Conte: questi era preoccupato per il suo onore, quegli per il suo affare.(ドン・ロドリーゴは伯爵と取引していた。後者は名誉を心配し、前者は商売を心配していた)」のような対比的な構造で, 二人の人物の心情を簡潔に示します。19世紀の小説では非常に頻出し, 読者は二人の人物を一文で区別できるようになっています。

現代作家でも questi と quegli は残っています。ウンベルト・エーコ『薔薇の名前』のような中世を舞台にした小説では, 時代背景を強めるために古典的代名詞が選ばれます。「Il bibliotecario e Adso si guardarono: questi sospettava qualcosa, quegli fingeva indifferenza.(司書とアドソは見つめ合った。後者は何かを疑い、前者は無関心を装っていた)」のように。アンドレア・カミッレリやアントニオ・タブッキの作品でも見かけることがあります。現代を舞台にした小説では稀ですが, エッセイや評論では今でも生きています。

  • Renzo e Tonio entrarono insieme: questi era timido, quegli risoluto.
    レンツォとトーニオは一緒に入った。後者は内気で、前者は決然としていた。
  • Padre Cristoforo e Don Rodrigo si trovarono di fronte: questi minacciava, quegli pregava.
    クリストフォロ神父とドン・ロドリーゴは向かい合った。後者は脅し、前者は祈っていた。
  • L’avvocato e il giudice discutevano: questi voleva chiudere, quegli proseguire.
    弁護士と裁判官は議論していた。後者は終わらせたく、前者は続けたかった。

現代では何で置き換えるか
会話と書き言葉の選択肢

現代の会話と書き言葉では questi と quegli を使わず, 別の表現で同じ意味を伝えます。「Lui e l’altro」(彼ともう一方)が日常的, 「il primo e il secondo」(前者と後者)がややフォーマル, 「il primo… il secondo」がビジネス文書や論文の定番です。「Marco e Luca arrivarono: il primo era stanco, il secondo allegro.(マルコとルカが到着した: 前者は疲れていて, 後者は陽気だった)」のように。日本語の「前者・後者」と同じ感覚で使えます。

論文や報告書では「il signor X… il signor Y」のように名前で繰り返すこともあります。法律文書では「la prima parte… la seconda parte」(第一当事者・第二当事者)のような形式的な表現を使います。日常会話なら名前で繰り返すか, 「questo qui… quello là」(こちら・あちら)のような物理的な指示詞を使います。場面に応じた選択肢が豊富にあるので, questi と quegli は文学読解の知識として持っておくだけで十分です。

  • Marco e Luca sono amici: il primo è di Lucca, il secondo di Trento.
    マルコとルカは友達。前者はルッカ出身、後者はトレント出身。
  • Sakura e Marco erano insieme: lei studiava, lui giocava.
    サクラとマルコは一緒だった。彼女は勉強し、彼は遊んでいた。

日常で使う10例文
文学的レジスター

  • Don Rodrigo e Don Abbondio si guardarono: questi tremava, quegli rideva.
    ドン・ロドリーゴとドン・アッボンディオは見つめ合った。後者は震え、前者は笑っていた。
  • Il professore e l’allievo entrarono: questi era nervoso, quegli sereno.
    教授と弟子が入ってきた。後者は緊張し、前者は穏やかだった。
  • Renzo e Lucia si sposarono: questa pianse, quegli sorrise.
    レンツォとルチアは結婚した。後者(ルチア)は泣き、前者(レンツォ)は微笑んでいた。
  • Garibaldi e Mazzini si incontrarono: questi voleva la repubblica, quegli combatteva per il re.
    ガリバルディとマッツィーニが出会った。後者は共和制を望み、前者は王のために戦った。
  • Il mercante e il viaggiatore parlavano: quegli arrivava da Venezia, questi partiva per Firenze.
    商人と旅人が話していた。前者はヴェネツィアから来て、後者はフィレンツェへ発つところだった。
  • Il vescovo e il priore camminavano in giardino: questi pregava, quegli rifletteva.
    司教と修道院長が庭を歩いていた。後者は祈り、前者は思いをめぐらしていた。
  • L’avvocato e il cliente si guardarono: questi era spaventato, quegli sicuro.
    弁護士とクライアントは見つめ合った。後者は怯え、前者は確信していた。
  • Il padre e il figlio: questi voleva partire, quegli desiderava trattenerlo.
    父と息子。後者は出発したく、前者は引き止めたかった。
  • Il giudice e il testimone: questi mentiva, quegli lo sapeva.
    裁判官と証人。後者は嘘をつき、前者はそれを知っていた。
  • Adso e Guglielmo: questi era giovane, quegli esperto.
    アドソとグリエルモ(『薔薇の名前』)。後者は若く、前者は熟練していた。

歴史的記述での使い方
政治史と伝記での「前者・後者」

イタリアの歴史書では questi と quegli が二人の政治家や歴史的人物を対比的に語るのに使われます。「Cavour e Garibaldi furono protagonisti del Risorgimento: questi combatteva sul campo, quegli negoziava nei salotti.(カヴールとガリバルディはリソルジメントの主役だった。後者は戦場で戦い、前者はサロンで交渉した)」のような表現は、歴史教科書や評論で頻出します。二人の偉人を一文で対比して読者に印象づける効果があります。

伝記作家もこの構文を活用します。「Manzoni e Verga rappresentano due epoche letterarie: questi il verismo, quegli il romanticismo.(マンゾーニとヴェルガは二つの文学時代を代表する。後者は写実主義、前者はロマン主義)」のような対比的な記述は、簡潔で美しい文体を作ります。日本人がイタリア文学史や歴史書を原文で読むときに必ず出会う構文なので、形と意味の関係を一度理解しておくと、読解力が格段に上がります。

  • Mussolini e il Re trattavano: questi cedeva, quegli si imponeva.
    ムッソリーニと国王が交渉していた。後者は譲歩し、前者は押し付けた。
  • Petrarca e Boccaccio furono amici: questi scriveva novelle, quegli sonetti.
    ペトラルカとボッカッチョは友人だった。後者は短篇を書き、前者はソネットを書いた。

costui, colui, costei, colei との関係
文語的代名詞の家族

questi と quegli は文語的代名詞の小さな家族に属します。同じ家族の他のメンバーを整理しましょう。costui(こちらの男性, やや軽蔑的), costei(こちらの女性), colui(あちらの男性, 中立的), colei(あちらの女性)。これらはマンゾーニ『婚約者』のような古典で頻出します。「Costui non aveva mai conosciuto la verità.(こいつは真実を知ったことがなかった)」「Colui che parlava era il prete.(話していた人は神父だった)」のように使います。

complementi(補語)にも形が変わります。costui→costoro(複数), colui→coloro(複数)。「Coloro che credono possono salvarsi.(信じる者は救われうる)」のような格言的な表現で使われます。現代でも宗教的な文章, 法律文書, 詩で生き残っています。questi と quegli, costui と colui のセットを意識的に読書で観察すると, C1 から1級レベルの読解力に厚みが出ます。

  • Costui non sapeva nulla del progetto.
    こいつはプロジェクトのことを何も知らなかった。
  • Colui che ascolta impara molte cose.
    聞く者は多くのことを学ぶ。
  • Costoro hanno deciso di andarsene.
    こいつらは出ていくことを決めた。

日本人がつまずくポイント
三つの落とし穴

日本語話者が questi と quegli でつまずく主な理由は三つです。一つ目は, 現代会話で使ってしまうこと。日常会話では絶対に出てきません。文学作品の地の文か, 法律文書のような非常にフォーマルな書き言葉でのみ生きる代名詞です。普段の会話では「lui」「l’altro」「il primo」「il secondo」を使います。二つ目は, questi を「これ(指示形容詞 questo の複数)」と混同すること。代名詞 questi(彼, 後者)は男性単数, 形容詞 questi(これらの, 男性複数)は男性複数。文脈で判断します。三つ目は, 区別の方向を逆に覚えること。questi = 後者, quegli = 前者。「近いほう(questi)が後に来た, 遠いほう(quegli)が先に来た」と覚えると忘れません。

ボローニャの大学図書館で、ケンジがイタリア人の文学教授ジュリアにマンゾーニについて質問しています。questiquegli が文学読解で重要であることが分かる場面です。

👱🏻‍♂️ Kenji: Giulia, sto leggendo i Promessi Sposi e ho trovato la parola questi. Cosa significa?
ジュリア、『婚約者』を読んでいて questi という言葉を見つけました。どういう意味?

👱🏼‍♀️ Giulia: È un pronome letterario per il maschio singolare. Significa lui o questo, e indica la persona menzionata dopo.
男性単数の文学的代名詞よ。「彼」または「こちら」を意味して、後に言及された人を指すの。

👱🏻‍♂️ Kenji: E quegli? Ho visto anche quegli nel testo.
quegli は?テキストで quegli も見つけました。

👱🏼‍♀️ Giulia: Quegli indica invece la persona menzionata prima. Quindi questi = il secondo, quegli = il primo.
quegli は逆に、先に言及された人を指す。だから questi = 後者、quegli = 前者ね。

👱🏻‍♂️ Kenji: Capito. E nella conversazione moderna si usano?
わかった。現代の会話でも使う?

👱🏼‍♀️ Giulia: No, mai. Solo nella letteratura o in testi formali. In conversazione diciamo il primo e il secondo, oppure ripetiamo i nomi.
使わないわ。文学や正式な文書だけ。会話では「前者」「後者」と言うか、名前を繰り返すの。

👱🏻‍♂️ Kenji: Quindi è importante solo per leggere i classici.
じゃあ古典を読むときだけ大事なんだね。

👱🏼‍♀️ Giulia: Esatto. Ma per il C1 e per l’esame ti serve. Continua a leggere!
その通り。でも C1 と試験には必要よ。読み続けて!

🎯 ミニチャレンジ
mini sfida

🎯 ミニチャレンジ。次の文の questi または quegli が誰を指しているか答えてください。

  1. Marco e Luca arrivarono: questi era allegro, quegli stanco. (questi = ?, quegli = ?)
  2. Don Abbondio e Don Rodrigo: questi era spavaldo, quegli timoroso. (questi = ?, quegli = ?)
  3. Renzo e Padre Cristoforo si incontrarono: questi consigliava, quegli ascoltava. (questi = ?, quegli = ?)
👉 答えを見る

1. questi = Luca(後者), quegli = Marco(前者)
2. questi = Don Rodrigo(後者), quegli = Don Abbondio(前者)
3. questi = Padre Cristoforo(後者), quegli = Renzo(前者)

クイズ
quiz

理解できたか、クイズで確認しましょう。

(クイズ準備中)


よくある質問
Domande frequenti

questi と quegli について、日本人学習者からよく寄せられる質問をまとめました。

questi と quegli を覚える簡単なコツは?

「近いほう(questi)が後者, 遠いほう(quegli)が前者」と覚えると忘れません。指示形容詞 questo(この、近い)と quello(あの、遠い)からの派生で、近いものは「最近に言及された=後者」、遠いものは「以前に言及された=前者」と整理できます。日本語の「これ」「あれ」の感覚を時間関係に応用します。

現代会話で本当に使わないですか?

はい、ほぼ使いません。日常会話では「lui」「l’altro」「il primo」「il secondo」「Marco」「Luca」のように名前で繰り返すか、別の表現を選びます。questi と quegli は文学作品(とくに19世紀ロマン主義のマンゾーニやヴェルガ)、現代の歴史小説(エーコ)、法律文書、学術論文の特殊な箇所に限られます。話し言葉では絶対に出てきません。

女性形はありますか?

questi と quegli には女性形はありません。男性単数のみです。女性を指すときは costei(こちらの女性), colei(あちらの女性), または lei と l’altra のような表現を使います。複数の人を指すときも questi と quegli は使えず、「i primi… i secondi」(最初の人々と後の人々)のような表現にします。非常に限定的な代名詞です。

costui, colui との違いは?

costui(こちら、男性)と colui(あちら、男性)も似た文語的代名詞ですが、少し違う響きがあります。costui はやや軽蔑的なニュアンスを含むことがあります(「こいつ」のような)。colui は中立的で、関係代名詞 che と組み合わさって使うことが多いです(colui che parla = 話す人)。questi と quegli は対比的な二人を区別するのに特化した形です。

questi(彼)と questi(これらの)はどう区別しますか?

文脈で判断します。代名詞 questi(彼、後者)は男性単数で、動詞は3人称単数を取ります(questi era stanco)。指示形容詞 questi(これらの)は男性複数で、後ろに名詞があり動詞は3人称複数を取ります(questi libri sono interessanti)。形は同じですが、機能と一致が違うので, 文の構造を見れば区別できます。

試験(伊検準1級・1級)に出ますか?

はい、読解問題で出題されることがあります。とくに19世紀文学(マンゾーニ)や歴史小説の抜粋が出されたとき、questi と quegli が文中の誰を指しているか正確に判断する力が問われます。形と意味の関係を理解しておけば、確実に得点できます。読書を通じて慣れることが大切です。


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