復活祭-Pasqua
イタリアで最も重要な行事のひとつである復活祭。キリストが十字架に架けられ死んだ三日後に復活したことを祝う宗教行事です。復活祭が近づくとシンボルであるウサギやカラフルな卵、子羊などが町にあふれ、子供でなくてもなんだかウキウキしてしまう気分になります。どのようなことをしたりそれぞれのシンボルについてみてみましょう。
★/(・ x ・)\ Pasqua/(*^ x^)\
春を告げるイタリアの大きな宗教行事、復活祭(イースター)。イタリア語ではPasqua(パスクア)といいます。
このPasquaはキリスト(イタリア語ではGesù Cristo )が十字架に架けられ死んだ後に復活したことを祝う宗教行事で毎年「春分の日の後の最初の満月の次の日曜日」がPasqua当日になります。月の満ち欠けに影響することからわかるように復活祭は毎年同じ日ではなく移動祝日。
月は新月→三日月→半月→満月と形を変え、生まれ変わって現れるように思えるところから復活を象徴すると信じられています。毎年復活祭が月の満ち欠けに左右されるのはなんとも神秘的。
復活祭の前日はカーニバルの最終日の翌日から40日後(日曜日を除くので実際は46日後)にあたりその期間をカトリックでは四旬節といいます。
Pasquaの語源はヘブライ語で“Pesach”といい“passaggio(移動・通過)”という意味になり旧約聖書に出てくるモーゼがエジプトの奴隷だったイスラエル人を解放し移動させる話に関係します。Pasquaはカトリックではキリストが復活したことを祝う行事ですが実はキリストより遥か前のこの出来事が由来で始まった過越祭が起源だといわれています。
Pasquaの一週間前は “settimana santa 聖週間 “ と呼ばれます。
聖週間の初日である日曜日、つまり復活祭の前の日曜日は“ Domenica delle Palme “ といいます。そのままの直訳ですと”椰子の日曜日“ということですが ”枝の主日“ということです。これはキリストがエルサレムに足を踏み入れた際、人々がナツメヤシの枝を持って祝福したことに由来します。
必ずしもナツメヤシではなければいけないということではなく、イタリアではオリーブの小枝がよく使われます。実際この”枝の主日“でのミサで神父様は信者にオリーブの枝を渡します。イタリアの多くの家庭にも十字架に架けられたキリストの壁掛けがあり、このオリーブの小枝を添えます。
復活祭前の木曜日は “giovedì santo 聖木曜日“ といいます。この日はキリストが最後の晩餐をした日であり、福音書にはキリストが同席した弟子たちの足を洗ったという記述があります。
そして翌日は “ venerdì santo 聖金曜日”といいキリストの受難と死を記念する日となります。
Pasquaの翌日である月曜日は “Il lunedì dell’Angelo ( lunedì di Pasqua 又はPasquettaパスクエッタ ともいう)“といいます。キリストが復活した日曜日の翌日であるこのパスクエッタにマグダラのマリア達が墓場にいくと天使が現れ「キリストは復活された」と告げたそうです。
パスクエッタは第二次世界大戦後にできたものでPasquaのお休みを長くして家族が一緒に旅行に行ったり共に時間を過ごせたりできるようにということで設定されました。
Pasquaが近づいてくると町にはカラフルな卵やウサギが飾られます。それぞれの行事にシンボルや欠かせない料理があるようにPasquaにもお決まりのアイテムが幾つかあります。早速紹介していきましょう。
★ Le uova di Pasqua (復活祭の卵)
これは巨大な” uovo di Pasqua con sorpresa”
卵は遥か昔から生命・復活のシンボルとして知られています。復活したキリストの姿は堅い殻を破って新しい命が誕生する卵になぞられているからです。
色とりどりの卵がありますがどうして卵に色を付けるようになったか・・・・それは【キリストが亡くなったあとマグダラのマリアが墓場にいくとキリストの姿がなかった。キリストの復活を告げるため“誕生・復活”のシンボルである卵をもって信徒(信徒ではなくローマ皇帝という説もある)に行くと『そんなことは信じられない、ばかげている。お前が持っている白い卵が赤くかわるのと同じくらいあり得ない。』といったとたんマグダラのマリアが持っていた白い卵が赤くなった。】という出来事が由来になっています。
イタリアをはじめ多くのEU諸国で卵の形をしたチョコレートを目にします。大人の顔以上に大きい卵型チョコレートもあります。“uovo di Pasqua con sorpresa”というものが子供に大人気です。大きな卵型チョコレート中は空洞でそこには”sopresa”というオモチャなどのおまけが入っているからです。
その他卵を使った食べ物で“cuddura”という卵をそのまま殻ごとパンに入れ込んだものがあります。この卵入りパンはシチリアや南イタリア地方で見られるこのcudduraパンは甘いものと塩味の両方とも存在します。
★ La colomba (コロンバ)
Colomba とはイタリア語で“ハト”という意味です。Pasquaのコロンバはブリオッシュ生地にオレンジピールを練りこんだお菓子でハトが翼を広げた形をしています。こちらのお菓子もクリスマスの代表菓子Panettone(パネットーネ)と同様オレンジピールだけでなく他のドライフルーツやアーモンドなどのナッツ類、チョコレートなど入ったものなど種類は沢山あります。
さてなぜ復活祭にハトなのか・・・・それはハトが平和のシンボルだからです。これは旧約聖書にでてくるノアの方舟の中で大洪水の中放たれたハトがオリーブの枝を咥えて戻り、洪水の終わりと新たな世界の誕生を知らせたことに由来するといわれています。
★ L’agnello (子羊)
アーモンドのマジパンで出来た子羊の“agnello Pasqule di mandorle”
羊の中でも特に子羊。子羊は純潔・潔白のシンボルです。また生贄として人々のために犠牲になった子羊は同じく民を救うために自ら犠牲となったキリストのシンボルでもあります。
シチリアでは“agnello Pasquale di mandorle” “pecorelle di mandorle”というアーモンドのマジパンで作られた子羊型のお菓子が有名です。
因みに pecora は羊という意味ですが pecorella となると子羊を意味します。ただし宗教的に使われる子羊を正しく意味する場合は pecorella ではなく agnello というのが適切です。実際教会のミサなどの祈りで使われる”子羊”という言葉は”agnello”という言葉を使用しています。その他食卓のメインディッシュとして子羊が食されるのも復活祭の特徴です。
★ Il coniglio ウサギ
ウサギは多産なので生命・繁栄の象徴としてPasquaには欠かせない存在になっています。特に野ウサギは昔キリストのシンボルでもあったこともあります。ウサギは元気に飛び跳ねる様子から飛躍としての意味もあります。
イタリアのことわざで”Natale con i tuoi, Pasqua con chi vuoi(クリスマスは家族と、復活祭は好きな人と)”というものがあります。実際はそうとは限りませんが・・・。
昔に比べイタリアも核家族化になってきましたがそれでもこういった宗教行事は特に家族が集まり豪華な食事をするのがイタリア流です。是非ともイタリアのPasquaを体験したいものですがPasqua時期はかなり大きな都市でないと買い物をするようなお店は開いていないのでこの時期に旅行を計画している人は気をつけてください。
更新情報;復活祭2020年は4月12日、2021年は4月4日、2022年は4月17日、2023年は4月9日
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