サンレモ音楽祭
Festival della Canzone Italiana di Sanremo
毎年リグーリア州にあるサンレモ(Sanremo)で開催されるイタリアポピュラー音楽の祭典。2013年は14組のアーティストと8組の新人アーティストが参加。毎年平均視聴率50%近くになるこの音楽祭。早速2013年2月に開催されたサンレモ音楽祭の様子を見てみましょう!
♪まずは2013年のチャンピオンに輝いたMarco Mengoniの”L’essenziale”をYoutubeより♬
毎年2月から3月の初めに数日間開催されるサンレモ音楽祭。なんとこの音楽祭は1951年より毎年開催されている歴史ある音楽の祭典で今年もサンレモのアリストン劇場からテレビとラジオでライブ中継されました。1977年より毎年アリストン劇場から放送されたサンレモ音楽祭ですが1990年の第40回周年のときは唯一ここではなく別会場で開催されました。2013年で63回目の祭典になり偶然にも日本の紅白歌合戦(2012年の大晦日放送が第63回)と同級生になります。
2013年は昨年末のイタリア首相マリオ・モンティの突然の辞任により2月末に総選挙が行われるということで慌ただしい時期でした。また当時ローマ教皇であったベネディクト16世が音楽祭前日に退位表明したことからイタリアでは大きな出来事が入り混ざった中の開催となりました。
現在では多くのアーティストの中から選出された歌手がこの音楽祭で競いますが1年目の1951年の歌手はたった3人だったそうで当初はラジオのみの放送でした。
63年の歴史の中で1967年には当時サンレモ音楽祭開催中、出演歌手だったLuigi Tencoが自ら命を絶つというショッキングな事件が起き、また80年代には生演奏ではなく口パクだった歌手がいたというスキャンダルもありました。
しかし1984年から新人部門を設けて新しい音楽の風をいれるなどの工夫を凝らし未だにかなりの視聴率を稼ぐ人気番組であることは間違いないようです。
2013年のサンレモ音楽祭は2月12日~16日に開催され国営放送のRAIより生中継されました。第一夜の平均視聴率は48.2%、第二夜は42.89%、第三夜は42.50%、第四夜は48.17%、最終日は53.80%ということで5夜の平均視聴率は47.49%、最終日のサンレモ受賞者が発表された午前0時56分には最高視聴率73.48%を叩きだしたということですからイタリアでの人気ぶりは一目瞭然です。
今年の音楽祭には本戦の14組のアーティストと新人戦の8組の新人アーティストが参加しました。思考を凝らしたプログラムで行われ14組のアーティストはそれぞれ2曲ずつ披露し、視聴者からの投票によって本戦でどちらの曲を歌うかが決定されました。
投票はテレビ投票と特別審査員からの投票により評価され、新人アーティストは1曲勝負という仕組みでした。本戦の最終日には参加者14組が曲を披露し、最終的に選ばれた3組がまた更に競い今年の受賞者が決定しました。
新人賞は第四夜に決定し、受賞者は“Mi servirebbe sapere”を披露したAntonio Maggio。本戦のサンレモ音楽祭大賞は”l’essenziale”を披露したMarco Mengoniが受賞者に選ばれました。
♪新人賞Antonio Maggioの“Mi servirebbe sapere”をYoutubeより♬
本戦とは別企画で第4夜には”sanremo story”という特別なプログラムがありました。こちらは14組のアーティストが過去のサンレモ音楽祭の名曲を本戦出場以外のアーティストとコラボレーションしても良い審査なしのショー。イタリアの名曲を現代パージョンで聞けるお得な企画です。Youtubeなどでオリジナルがどんな感じか検索するもの楽しいですよ。
サンレモ音楽祭はもちろん音楽がメインですがゲストとして登場する人物もこの音楽祭を盛り上げる大事な要素です。今年のゲストで特に目を引いたのがまず第一夜に登場したMaurizio Crozzaというコメディアンがシルビオ・ベルルスコーニの物まねし皮肉ったため、会場内にいたベルルスコーニを支持する観客がヤジを飛ばし一時騒然となりました。
第二夜には前フランス大統領サルコジ婦人のCarla Bruniが出演。彼女はもともとトリノ出身のイタリア人ですが現在はフランスに国籍を変えた人物です。カルラ・ブルーニは元モデルであり歌手でもあります。今回の特別出演ではフランス語でギターの弾き語りをしてくれました。
第三夜のゲストの一人として元サッカー選手のRoberto Baggioが出演しサッカー選手時代の話や近年の慈善活動について話してくれました。彼は2010年広島で開かれたノーベル平和賞受賞者世界サミットで「平和サミット賞」を受賞した経歴があります。サンレモ音楽祭では世界の子供たち・我が子へ「希望・自信・夢・忍耐を持つように」と自分の経験を交えながら話したスピーチがとても印象的でした。
第四夜ではなんといっても有名なジャズピアニストのStefano Bollaniによるピアノ演奏。彼は用意していた曲の他、観客よりリクエストをとりサンレモ音楽祭の名曲数曲を即興で繋げ演奏してくれました。 他にも大御所ギタリストのFranco Cerriがサンレモ出場アーティストとのコラボレーションで出演するなどイタリアの音楽界を代表する素晴らしい人達が参加した豪華な夜でした。
最終日の第五夜ではテノール歌手で世界的に有名なAndrea Bocelliが素晴らしい歌声で観客を魅了しました。2曲目にはピアノ演奏者として彼の息子も参加し親子コラボレーションを披露。
5夜続いた今年のサンレモ音楽祭。新しい演出方法、そして話術が素晴らしい司会者と合計22組の素晴らしいアーティスト達のおかげで見ごたえのあった音楽祭だったような気がします♬
音楽に関する単語
- musica 音楽
- cantante 歌手
- presentatore 司会者(男)
- presentatrice 司会者(女)
- teatro 劇場
- palcoscenico 舞台
- spettatore 観客
- microfono マイク
- chitarra ギター
- basso ベース
- batteria ドラム
- coro コーラス
- stonato 音痴な
- applauso 拍手/喝采
このブログでは2013年開催のサンレモ音楽祭の様子をお伝えしました。日本と同様時代と共に人気を集める音楽のジャンルやメジャーなアーティストも変わっていきます。イタリアの文化を知る上で音楽は欠かせない要素のひとつ。あなたの好きなアーティスト探しをしてみるのもいいものです。そして音楽に触れることによりイタリア語の綺麗な音が更に魅力的に感じることと思います。