プレセクリスマスが近づくと町や教会、家庭で見かけるようになるプレセーペ。キリストの母・マリア様の無原罪の御宿である12月8日からキリストの誕生を祝して東方三博士がやってくる1月6日まで飾られます。
クリスマス(イタリア語ではNatale ナターレ)が近づくと町や教会、家庭でプレセーペ presepeを見るようになります。プレセーペはプレセーピオ(presepio)ともいわれます。
プレセーペとはキリスト降誕の場面をミニチュア模型などで再現したものです。一般的にPresepeはキリストの母・マリア様の無原罪の御宿である12月8日からキリストの誕生を祝して東方三博士がやってくる1月6日まで飾られます。日本では12月25日が過ぎるとクリスマス飾りは外され正月飾りに変わりますがイタリアはクリスマス当日が過ぎても飾りはそのまま続きます。
プレセーペ に欠かせない登場人物はGesù Bambino(赤ん坊のイエス・キリスト)、Maria(マリア様)とSan Giuseppe(聖ジュゼッペ)の聖家族(Sacra Famiglia)。
マリア様は青いマントを纏っていることがよくありこれは天・大空の象徴。
聖ジュセッペは茶色い服を身にまとっていることが多くこれはキリスト教徒としての謙遜・敬虔さを表しています。
その他よく登場するのが牛とロバですがこれはヘブライ教徒と異教徒を表し、キリスト誕生を祝し星を頼りに贈り物を持ってやってきた三博士はヨーロッパ、アジア、そしてアフリカの人種を象徴しています。
厳密にプレセーペでキリスト降誕を再現する人は12月25日にプレセーペに赤ん坊のイエス・キリストを置き東方三博士においては1月6日が近づくにつれ徐々にイエス・キリストの近くに置いていきます。
1月6日は東方三博士がお祝いのためキリストのもとに辿りついた日でEpifaniaエピファーニアの祝日で日本語では公現祭と呼ばれます。このEpifaniaという名前はギリシャ語由来の“啓示・新たな出現”という意味を持ち、まさにイエス・キリストが三博士によって人類の救世主として祝福されたことを示しています。
プレセーペには2種類タイプがあります。ひとつはプレセーペ・ストーリコ(presepe storico)といいキリストが降誕したときの状況や登場人物を忠実に再現したもので伝統的なものになります。もうひとつはプレセーペ・ポポラーレ(presepe popolare)といいキリストが降誕したときの状況に製作者の自由な創造物や町並みが融合したものをいい、例えばピザ職人、道化師プルチネッラ等がいるナポリの町並みにこの降誕場面を入れ込んだものがあります。
世界的に有名なプレセーペといえばナポリ。ナポリにはVia San Gregorio Armeno (サン・グレゴリオ・アルメーノ通り)、通称プレセーペ通りがあり職人が作ったプレセーペが所狭しと置かれています。イタリアでプレセーペの発祥はナポリと思ってしまいますが実は最初にプレセーペを始めたのはAssisi(アッシジ)の聖フランチェスコ。敬虔は信者である聖フランチェスコは1223年にミニチュア模型ではなく実際の人間を使ってイエス・キリストが降誕したプレセーペを再現したのが始まりといわれています。
クリスマスシーズンになるとイタリア各地でプレセーペ展が行われます。
ヴェネト州ヴェローナの円形劇場では世界のプレセーペ展 が毎年開催され2012年は第29回目を迎えました。この展示会ではイタリア各地のプレセーペを中心にフランスやドイツなどのその他のEU諸国、コンゴやウガンダといったアフリカの国々、またペルーやメキシコのプレセーペも楽しめます。(※ブログ末尾に開催日の最新情報があります。)
同じヴェネト州のJesolo(イェーソロ)では世界中のアーティストが砂で作ったプレセーペ” Jesolo Sand Nativity”が楽しめます。Jesoloはビーチで有名な町でありクリスマスもその町の特徴を活かしたサンドアートで人々を楽しませてくれます。
そして南イタリアのシチリアのカルタジローネ(Caltagirone)では教会や展示室で沢山のプレーペを見て廻ることができます。カルタジローネは陶器が有名な町でありチェントロには美しいタイルが敷き詰められた階段があります。
シチリアとはいえカルタジローネのような内陸の町はこの時期雪が降ることもあり多くの人々が持つシチリアの夏のイメージとは全く異なる雰囲気を味わえます。
上記で紹介したプレセーペ情報はほんの一部です。ローマやフィレンツェなどの大都市だけでなく小さな町もそれぞれの思いを込めたプレセーペを展示しています。ふと足を止めた町で一生心に残るプレセーペを目にするかもしれません。
カトリックの国であるイタリアでは時代の流れと共にプレセーペを飾る家は昔よりは減っているのが現状ですが、それでも各家庭で大小様々なプレセーペが飾られます。
Natale(クリスマス)にまつわるこんなことわざがあります。
” Natale con i tuoi e Pasqua con chi vuoi(クリスマスは家族と、復活祭は好きな人と)”。
1年の中で家族が集まる大切な行事としてNataleはイタリア人の心にあります。
更新情報(2022-2023年);
- ヴェネト州 Verona Natale in Arena 2022年11月19日~2023年1月22日
- ヴェネト州 Jesolo Sand Nativity Jesolo 2022年12月9日~2023年2月5日
- シチリア州 Caltagirone Natale a Caltagirone edizione 2022年11月26日~2023年1月11日
役立つ単語
- angelo 天使
- Natale クリスマス
- Vigilia di Natale X’masイブ
- stella di Natale ポインセチア
- albero di Natale X’masツリー
- dicembre 12月
- luminarie (p.) イルミネーション
- Babbo Natale サンタクロース
- religioso 宗教の
- Sacra Famiglia 聖家族
- mucca 牛
- asino ロバ
- i tre Re Magi 東方三博士
- pastore 羊飼い
- artigiano 職人
- regalo プレゼント
(p.) ; 複数形
できることならば一度はイタリアでクリスマスを過ごすのも素敵な経験になることでしょう。ただどこにいても特別の日。心穏やかに優しい気持ちでクリスマスを過ごし、次の新しい年に繋げたいものです。
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