Bassano del Grappa (バッサーノ・デル・グラッパ) はヴェネト州・ヴィチェンツァ県にあるグラッパで有名な町。過酷な歴史を乗り越えたこの町には所々でその痕跡を目にすることができます。
ヴェネト州・ヴィチェンツァ県にある Bassano del Grappa バッサーノ・デル・グラッパはイタリアの蒸留酒グラッパの産地で有名な町。バッサーノ・デル・グラッパはイタリア国鉄FSの駅がありヴェネト州の主要観光地ヴェネツィアやパドヴァから北に向かい所要時間1時間ほどの場所にあります。
旧市街はグラッパ山をはじめとするヴェネト州のプレアルプス山麓にあり、清らかなブレンタ川が流れています。ブレンタ川には数々の歴史を刻んできた町のシンボル“ Ponte degli Alpini / Ponte vecchio アルピーニ橋 又は ヴェッキオ橋と呼ばれている” が架かっています。
自然豊かで落ち着いた佇まいこの町は度重なる戦いに苦しみ立ち向かってきた歴史を持っています。アルピーニ橋はその代表といえるでしょう。
この橋が一番最初にできたのは1569年のこと。イタリアを代表する建築家 アンドレア・パッラーディオ Andrea Palladio の設計。激しい水流に対応する木製の橋にこだわったこの橋は幾度とない氾濫と侵略、爆撃で何度も破壊され、そして再建されてきました。
第一次および第二次世界大戦時に激戦地となったバッサーノ・デル・グラッパ。第二次世界大戦には町を守るため住民の有志が立ち上がりあえてヴェッキオ(アルピーニ)橋を破壊しましたがその数年後、パッラーディオ設計を再現した橋を山岳部隊( Alpini アルピーニ )が中心となりわずかな期間で再建させたのです。
この有志を称えこの頃からヴェッキオ橋からアルピーニ橋とも呼ばれるようになりました。
アルピーニはこの地に暮らす人々にとって特に誇り高き人々。町中ではアルピーニを称える慰霊碑や壁画、オブジェをたくさん目にします。
旧市街にあるサンフランチェスコ教会の壁には第一次世界大戦中の惨劇を伝える地図があります。地図には砲弾が当たった場所と爆撃機による空爆の場所が刻まれおり広範囲にわたりこの町が破壊されたのがわかります。
旧市街の端にある2棟の鐘楼が印象的な Tempio Ossario 納骨寺には第一次世界大戦で国を守るため命を落とした兵士6000人が眠っています。
ヴェネト州出身の友人が「バッサーノ・デル・グラッパはヴェネト州にあるけれどもヴェネトというよりイタリア共和国であることに誇りを持っているんだよ」と教えてくれました。確かにヴェネツィアやパドヴァなどのヴェネト州の多くの町ではヴェネチア共和国の旗を掲げているのを目にします。郷土愛が強いイタリア人、そしてヴェネトの人々ですがバッサーノ・デル・グラッパでは愛国心を表すトレコローリであるイタリアの国旗が誇り高くたなびいていました。
過酷な歴史を刻みながらも不屈の精神で何度も立ち上がったアルピーニ橋はこの土地の人々の精神を象徴するものに感じられます。ゴミ一つなく整頓された街並み、そしてブレンタ川は清く美しく町を流れています。
バッサーノ・デル・グラッパはグラッパの他、陶器そして白アスパラガスが有名な町。私が訪れたのは猛暑の夏だったので瓶詰以外のホワイトアスパラガスを目にすることはありませんでしたが旬である初夏にはD.O.Pに指定されている asparago bianco di Bassano del Grappa を楽しみたいものです。
- la prima guerra mondiale 第一次世界大戦
- la seconda guerra mondiale 第二次世界大戦
- alpini 山岳部隊/アルピーニ
- distruggere 破壊する/消滅させる
- ricostruire 再建する/再現する
- proteggere 守る/保護する
- fiero 誇りである/自慢の
- granata 砲弾/手榴弾
- ceramica 陶器
- la provincia di Vicenza ヴィチェンツァ県