イタリア語で『いくつかの~』『何か』
不定形容詞・不定代名詞
Aggettivi e Pronomi Indefiniti
不定形容詞は『いくつかの~』『各~』といったように不特定のものの数量や程度を表現します。不定代名詞は『誰でも』や『何か』といった不特定な人や物を指す場合に使われます。
不定形容詞 (Aggettivi indefiniti) と不定代名詞 (Pronomi indefiniti) について今回は勉強したいと思います。
不定形容詞はある数量や程度を表す形容詞です。また文章の構造によってはこの不定形容詞は不定代名詞としても働きます。日本語で難しく“不定形容詞・不定代名詞”と考えるよりも例文を見ていった方がわかりやすいと思います。
- Molte bellissime città italiane sono in Toscana.
イタリアの美しい多くの町はトスカーナ州にある。 - Ci sono delle bellissime città italiane. Molte sono in Toscana.
イタリアの美しい町が色々ある。その多く(の町)はトスカーナ州にある。
最初の例文の”molto”は形容詞としての働きがあります。”molto”の意味は”たくさんの、多くの”という意味です。不定形容詞も修飾する名詞の性と数によって語尾が変化します。
この”molto”が修飾する名詞はcittà(女性名詞・複数形)なので語尾が -e になり”molte”となります。
次に二番目の例文を見てみましょう。この場合の”molte”は前の分〈 Ci sono delle bellissime città italiane〉のdelle bellissime città italianeを受けています。この場合の”molte( città)”は不定代名詞の働きをしています。不定代名詞”molto”も不定形容詞の時と同じ指し示す名詞の性と数によって語尾が変化します。
- 不定形容詞には上記例文の molto など通常の形容詞と同じように修飾する名詞の性と数によって語尾変化するものの他にogni などのように常に同じ形を保つ不定形容詞があります。
形が不変の不定形容詞 にはogni, qualche, qualunque/ qualsiasi などがあります。
- nessuno, ciascuno , molto, tanto, poco….など不定形容詞の中には不定代名詞としての役割をするものがある。
- 数量を示す不定形容詞はイメージとしてカウントできるものを修飾。程度・質量を表す不定形容詞はイメージとしてカウントできないものを修飾。
★ NESSUNO
nessuno 「誰も、ひとりも~ない」「何ひとつ~ない」
nessunoを使った文章で否定文を作るとき、nessuno と 否定の副詞 non を同時に使っても二重否定にはならない。単数名詞を修飾する。
- Non c’è nessuno. 誰もいない。
- Non lo farei per nessun motivo. そんなことはどんなことがあっても絶対しないだろう。
- Nessuna delle mie amiche. 誰一人として私の女友達ではない
- Non ce n’è per nessuno. 誰一人としていない(例えば私より優れた人が誰一人としていない等を表現するとき)
- Nessuna pietà 慈悲の一つもない
- Nessun altro lo ha fatto. 他の誰もそれをしなかった。
- Nessuno mi può giudicare – 誰も私を裁くことはできない。
★ CIASCUNO
ciascuno 「それぞれの」「各~」「個々の」「各自」
単数の名詞を修飾する。
- Ciascun impiegato è stato chiamato dal presidente. 各社員は社長に呼び出された。
- Ciascuno fa quello che vuole. それぞれ好きなことをする。
- Un po’ per ciascuno 各自少しだけ
- Ciascuno di noi vuole vincere. 私達のそれぞれが勝ちたいと思っている。
★ OGNI
Ogni「どの~も」「全ての」「毎~」
ogniは単数形のみで不変化
- a ogni costo どんなことをしても、どんな犠牲を払っても
- ad ogni età あらゆる年齢の
- ogni giorno 毎日
- ogni mezz’ora 30分毎に
- in ogni caso いずれにしても
- in ogni direzione どの方角も
- in ogni luogo どこにでも
- ogni tanto ときどき
★ QUALUNQUE と QUALSIASI
Qualunque/ Qualsiasi 「どんな~でも」「いかなる~でも」「ありふれた」
修飾する名詞は単数形で不変化。
- in qualsiasi momento いかなるときでも
- a qualsiasi prezzo どんな値段でも
- in qualunque modo 何がなんでも、なんとしてでも
- in qualsiasi occasione どんな機会も、いつでも
- uomo qualunque ありふれた男性
- gente qualunque ありふれた人
修飾する名詞の前に”qualunque” が置かれると「どんな~でも」「いかなる~でも」 修飾する名詞の後に”qualunque” が置かれると「ありふれた」「並みの」
★ QUALCHE
Qualche 「いくらかの」「何らかの」「幾人かの」
単数の名詞を修飾するが意味的には複数。不変化。”qualche”と”cosa”を合わせたら不定代名詞の”qualcosa”
- Ho qualche amico in America. アメリカに何人かの友人がいる。
- Hai qualche cosa in frigorifero? 冷蔵庫に何かある?
- Andiamo da qualche parte? どこかにいこうよ。
- Ce la faremo in qualche modo. 何とかしてできるよ。
★ ALCUNO
alcuno 「いくつかの」「幾人かの」「何人か」
“alcuno”は “nessuno”の肯定文に相当します。”alcuno”を否定の副詞”non”と共に使うと否定文となり”nessuno”の意味に相当するようになります。”alcuno”は修飾する名詞、または指し示すものによって語尾が変化します。 “alcuni” “alcune”の複数形は特に「数人」や「数個」といったような少数を表現するときに使います。
- Non ho visto alcuna bella ragazza a Londra=Non ho visto nessuna bella ragazza a Londra. ロンドンでは一人も綺麗な女性を見なかった。
- Non c’era alcun gatto in cortile. 中庭に猫は一匹もいなかった。
- Ho invitato alcuni amici alla festa. パーティーに何人かの友人を招待した。
- Alcuni hanno detto delle bugie. 何人かは嘘をついた。
- Conosco alcune città italiane. イタリアの町を幾つか知っています。
★ CERTO
Certo 「ある種の」「いくらかの」「ある程度の」「いくつかのもの/人」
複数を示す場合は語尾変化し”certi” “certe”という形になる。alcuno に類似。
- Certe volte vorrei cambiare città. ある程度は町を変えたい。
- Ti presenterò certi amici 君に何人かの友人を紹介します。
- Volevo parlarti di una certa cosa 君にあることを話したかった。
- Ho una certa sensazione. ある種の感覚がある。
修飾する名詞の前に置かれて「ある」「いくらかの」 修飾する名詞の後に置かれると「確実な」「確かな」という意味になる。
- Domani concluderò un certo affare. 明日はある仕事をやり終える。
- Domani concluderò un affare certo. 明日は確信している仕事をやり終える。
★ MOLTO
molto 「たくさんの」「多量の」「たくさんのもの/人」
数量の多いこと。zucchero(砂糖)といったようなカウントできないものの場合は molto , moltaが使われる。
カウントできるものには molti、molteを使う。
- C’è molto traffico in città. 町はたくさんの渋滞がある。
- Hai speso molti soldi oggi. (君は)今日はたくさんお金を使った。
- Compreremo molta carne per il barbecue. バーベキュー用に大量のお肉を買おう。
- Molte mie amiche non vogliono sposarsi. 私の多くの女友達は結婚したがらない。
- Molti non dicono ciò che pensano veramente. 多くの人は本当に思っていることを口にしない。
★ TROPPO
troppo 「過度の」「多すぎる」「多すぎる数/量」
troppo と troppa はカウントできないものの量が多すぎることを表現し troppi と troppe はカウントできるものの量が多すぎることを表現する。
- Ho bevuto troppo vino. ワインを飲み過ぎた。
- Ci sono troppi libri qua. ここには本がありすぎる。
- C’è troppa gente. 人が多すぎる。
- Hai detto troppe bugie. 君は嘘をつき過ぎた。
- C’era tanta gente alla festa? パーティーにはたくさん人がいた?
-Tanta… anzi troppa. - たくさん(の人達)、というより多すぎ(の人達)だった。
★ TANTO
tanto 「たくさんの」「多量の」「多くの人々/もの」
molto と同じ
- C’è tanto traffico in città. 町には多くのの渋滞がある。
- Ci vuole tanta pazienza per imparare l’italiano. イタリア語を習得するには多くの忍耐が必要だ。
- Luigi non ha tanti amici. ルイジにはあまり多くの友人がいない。
- Kaori ha comprato tante scarpe a Milano. カオリはたくさんの靴をミラノで購入した。
- Tanti pensano che quella notizia non sia vera. 多くの人はあのニュースは本当ではないと思っている。
★ PARECCHIO
parecchio 「かなりの多くの」「相当な量の」「かなりの人々」「多量のもの」
- Ieri c’era parecchio vento. 昨日はかなりの風があった。
- La macchina nuova mi è costata parecchi soldi. 新車にはかなりのお金がかかった。
- Ci vuole parecchia pazienza con te! 君には相当な忍耐が必要だね!
- Sono stato in Giappone parecchie volte. 日本にはかなりの回数行ったことがある。
★ POCO
poco 「少しの」「ほとんどない」「わずかな人/もの」
- Ho poco tempo. 少しの時間しかありません。
- Carlo ha poca voglia di studiare. カルラは勉強する気がほとんどない。
- Ho guadagnato pochi soldi. わずかなお金を稼いだ。
- Paolo è una persona di poche parole. パオロはほとんど話さない人だ。
★ TUTTO
tutto 「全ての」「全部の」「全部」
- Ho letto tutto il libro velocemente. その本全てを物凄い勢いで読み終えた。
- Maria ha passato tutta la vita a Roma. マリアは全人生をローマで過ごした。
- Ho finito tutti i soldi. 全財産尽き果てた。
- Tutte le mie amiche hanno un marito. 私の女友達皆、旦那さんがいる。
★ ALTRO
altro 「別の」「もうひとつの」「別の人/もの」
- Vorrei un altro lavoro 他の仕事がしたい。
- C’è ancora dell’altra birra? もう一杯ビールはありますか?
- Dove sono andati gli altri? 他の人達はどこに行ったの?
- Mi servono delle altre scarpe 別の靴が必要です。
上記の不定形容詞は不定代名詞としての用法もありますが qualcosa, qualcuno, chiunque, nulla, nienteは不定代名詞としてのみ使います。
☆ QUALCOSA
qualcosa 「何か」「ある物」
不特定のものを指す代名詞。上記のqualche と cosa を組み合わせたもの。【qualcosa +前置詞 da +動詞の原形】や【qualcosa +前置詞 di +形容詞】という形で使われることも多い。
- Hai detto qualcosa? 何か言った?
- Vorrei qualcosa da mangiare. 何か食べたい。
- Per favore, lascia qualcosa anche a me! お願いだから私にも何か残して!
- Vorrei bere qualcosa di fresco. 何か冷たい物が飲みたい。
☆ QUALCUNO
qualcuno 「誰か」「何人か」「いくつか」
“nessuno”の対義語にあたります。
- Qualcuno ha bussato alla porta. 誰かドアを叩いた。
- Ho chiamato qualcuno per riparare la macchina. 車の修理のため人を呼んだ。
- Viene qualcun altro alla festa? No, nessuno. パーティーには他にも誰か来るの?-いいえ、誰も来ないよ。
- Hai delle sigarette? Sì, ne è rimasta qualcuna タバコある?-うん、いくつか残っている。
☆ CHIUNQUE
chiunque 「誰でも」
不特定な人。
- Chiunque può fare il tuo lavoro. 誰でも君の仕事はできる。
- Non posso dare confidenza a chiunque. 誰も信用できない。
- Chiunque sia, la pagherà! 誰であったとしても償え!
☆ NULLA と NIENTE
nulla / niente 「何も~ない」
nulla も nienteも同じ意味。否定の副詞”non”と共に使っても二重否定にならないのは nessuno と同じ。
- Non ho visto niente 私は何も見なかった。
- Non c’è niente di nuovo. 何も新しいことはない。
- Stefano non conta niente. ステーファノは役に立たない。
- Scusa ma non posso farci nulla ごめん、でも何もできないや。
補足として語尾が -uno で終わる不定形容詞(例えば nessuno, qualcuno など)は通常の男性名詞を修飾するときは語尾が-un(nessun, qualcun 等) に変わります。一方修飾する男性名詞が z, gn, pn, s+子音で始まるものを修飾するときはそのままの形をとどめます。例えば nessuno zaino, gnomo, pneumatico, scandalo.
今回は色々と単語がでてきましたね。テレビを見たりラジオ聞いたりするとこれらの不定形容詞や不定代名詞はよく出てきます。是非dante-learningのメンバーになってこれらの語句を使いこなせるようになってください。Skype又はZoomでオンラインレッスンを行っています。
それでは復習としてこのブログのエクササイズクイズをお楽しみください。
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フォトクレジット – Guido Reni – Il ratto di Elena (1631)